オナイウ阿道の抜擢が吉と出たものの、日本代表のサッカーが非頭脳的に見えた理由
セルビアはそれなりに強いチームだったが、すごく強かったわけではない。FIFAランキングを持ち出せば、日本の28位に対してセルビアは25位。だが来日したメンバーの顔ぶれは、ベストとは言えない1.5軍クラスだった。
コロナ禍では、ホームの利がより強く作用しそうなので、日本が2-0、3-0あたりのスコアで勝つのではないか。そんな楽観的な予想を立てて観戦に臨んだのだが、試合が始まると、認識の甘さに気づかされることになった。日本はセルビアの老獪と言いたくなる試合運びに、すっかり翻弄されることになった。
5バックで守りを固め、積極的に攻めないセルビア。5-4-1という布陣の、所定のポジションをカバーするだけの活気のないサッカー。現役時代、華やかだったドラガン・ストイコビッチが監督を務めているとは思えないサッカーだ。
日本はセルビアの逆。統制の取れない非合理的な動きで、こんがらがった糸のような、混乱した状態に陥った。南野拓実(サウサンプトン)、鎌田大地(フランクフルト)、伊東純也(ゲンク)と1.5列目には、ベストメンバーとおぼしき顔を並べていたのに、だ。
セルビア戦で日本代表デビューを果たしたオナイウ阿道 頭脳的な省エネサッカーに対して、非頭脳的な浪費サッカーを展開した日本。セルビアの老獪さに対して、そのサッカーは幼稚に見えた。監督の存在を感じさせないサッカーと言ってもいい。
日本は大迫勇也(ブレーメン)が故障のため離脱。森保一監督はその代役として、U-24日本代表戦(6月3日・札幌)、タジキスタン戦(6月7日・吹田)では、浅野拓磨(無所属)を1トップに起用した。左右のウイングでも起用されることが多い、言わずと知れたスピード系の選手だ。
タジキスタン戦では後半29分、谷口彰悟(川崎フロンターレ)と戦術的交代をするまで、ピッチに立った。残りの16分プラスアルファ強の時間、浅野に代わって1トップに座ったのは古橋享梧(ヴィッセル神戸)だった。タジキスタン戦は右ウイングで先発。坂元達裕(セレッソ大阪)が交代出場した後半からは、左ウイングに回っていた。古橋も浅野同様スピード系。まさにライバル関係にある2人だ。
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