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オナイウ阿道の抜擢が吉と出たものの、日本代表のサッカーが非頭脳的に見えた理由 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 セルビア戦のスタメン表に目をやれば、アタッカー陣4人の中に記されていたのは、浅野ではなく古橋の名前だった。南野、鎌田、伊東、古橋。森保監督はこの4人をどう並べるのか。ピッチに目を凝らした。

 1トップと1トップ下に南野と鎌田を縦関係に置き、古橋を左ウイング(右は伊東)に置くという手もあったはずだ。南野はサイドに適性があるとは言えない選手。基本的に真ん中志向の選手だ。鎌田は1トップ下がベストポジションながら、日本代表で以前に、1トップを務めたこともある。0トップの概念を適用すれば十分務めることができる。ベストではないがベターな選択だ。

 だが、森保監督は1トップに古橋を選択した。過去2戦同様、スピード系の選手起用となった。古橋はタジキスタン戦ではウイングから1トップに移動した後も活躍。その余勢を駆っての起用だったのだろう。

 しかしセルビア戦では、この起用が裏目に出た。古橋はその老獪な守備力に手もなく捻られた。スピードを消され、うまく守られてしまった。左ウイングで起用された南野も、いつものように適性のなさを露呈すれば、1トップ下の鎌田も淡泊なプレーに終始することになった。こう言っては何だが、日本のサッカーが非頭脳的に見えた理由は、このアタッカー陣4人の動きに集約されていた。

 スピード系の選手を、パスワークを重視する日本的なサッカーに組み込もうとすれば、1トップよりウイングの方が適している。あらためてそう実感させられたのは、後半の戦いが始まってからだった。

 前半、目立った活躍ができなかった1トップ古橋は、あえなくベンチに下がった。代わって登場したのは、大迫の戦線離脱に伴い、追加招集されたオナイウ阿道(横浜F・マリノス)。このセルビア戦が代表初キャップとなった25歳だ。

 日本の攻撃はこれを機にずいぶん落ち着き、円滑になった。1トップに座ったオナイウ阿道が、はまり役となったからに他ならない。

 所属の横浜FMではスタメンの座を死守。今季のJリーグで得点10は目下、ランキング3位で、日本人ではナンバーワンに値する。打点の高いヘディング。スピードもそれなりにある。特別ポストプレーを得意にするわけではないが、ボールの収まりは年々、目に見えてよくなっている。恰幅もよくなり、横浜FMでの存在感は増すばかりだ。

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