A代表に数字で露わになる不安材料。前半と後半で大きく違うスタッツとは? (3ページ目)
ただし、前半20分にU-24の田川が決定的チャンスを迎えたのを境に、試合の流れは変化の兆しを見せた。A代表が初シュートを浴びたそのシーンでは、谷口彰悟と植田直通が高い位置まで深追いし、揃って田川と久保に圧力をかけたのが裏目に出た。以降、守備ラインがやや後退。同時に、U-24の田川と久保の立ち位置が定まるようになり、その後の10分間はU-24に押し込まれる展開がつづいた。
それでもA代表が大崩れしなかったのは、大迫と鎌田大地の前線2人が相手の「ボールの出口」をふさぎ、U-24のビルドアップでダブルボランチ(板倉滉、中山雄太)を経由させなかったことが大きかった。
実際、前半でU-24が記録した敵陣での縦パスはわずか2本しかなく、クロスも25分に久保が記録した1本のみ。それに対してA代表は、12本の縦パスと7本のクロスを記録するなど、優勢を保ったままハーフタイムを迎えている。ただ、クロス7本のうちの6本は、試合を支配していた前半20分までに記録したもので、そういう意味ではピッチ上で起こっていた現象が、そのままスタッツに表れたと言える。
注目すべきは、A代表が見せた後半の変貌ぶりである。
もちろん、きっかけは後半開始から一気に5枚の交代カードを切ったことにある。シュミット・ダニエル、長友佑都、原口元気、鎌田、南野拓実がベンチに下がり、代わりに中村航輔、小川諒也、浅野拓磨、古橋亨梧、伊東純也がピッチに登場すると、システムは変わらずとも、その運用のところで綻びを見せてしまったのだ。
前半と比べて大きく変化したのが、守備時に最初のフィルターとなる前線2枚の立ち位置だった。不慣れなせいもあり、大迫の右側に立った古橋のポジショニングがなかなか定まらず、その結果、U-24の左CBの町田浩樹からの縦パスが増加。そこが「ボールの出口」となり、相手の前進を許すようになったのだ。
劣勢に転じたA代表は、後半は自陣に押し込まれる時間帯がつづいた。救いは、後半立ち上がり52分に、カウンターから浅野がゴールを決めて3-0とリードを広げたことだった。しかしそのゴールも、自陣から発動した左サイドのカウンター攻撃であり、自分たちが優勢の状態で決めたゴールではなかった。
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