五輪オーバーエイジのゲームマネジメントが秀逸。堂安律や田中碧が実感したそのすごさ
「オーバーエイジの3人が頼もしすぎたなと。後ろにあの3人がいるだけで、前の選手はすごくのびのびとプレーできました。派手な選手たちじゃないのに、あんなにも存在感がある。あらためて、彼らのすごさを肌で感じました」
U-24日本代表の右サイドで、さすがのプレーを見せた酒井宏樹 U-24日本代表がU-24ガーナ代表を6-0で下した後の記者会見で、先制点を挙げた堂安律はそう話した。この試合では、吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航のオーバーエイジ3人が初めて揃い踏みした。2日前に日本代表に0-3で敗れた試合でも、終盤に遠藤が入ると一気に流れが変わったように、この日も欧州のトップレベルで研鑽を積む3人が、U-24日本代表のクオリティーを見違えるほどに底上げした。
一言でいえば、経験になるだろうか。あるいは自信。日頃からタフな戦場で骨太な相手と渡り合い、さまざまな修羅場をくぐり抜けてきた彼らが得ているものは計り知れない。
キックオフの笛が鳴ると、ガーナは強いフィジカルと柔軟な個人技を武器に、押し込もうとしてきた。しかし遠藤が中盤の争いをことごとく制し、高めの位置からも敵を追い回してマイボールにし、波状攻撃に繋げていく。16分に久保建英のシュートがはじかれた後に堂安がボレーを決めたシーンも、その直前に遠藤が中盤のハイボールで競り勝ったからこそ生まれたものだ。
「今、日本で一番のボランチの選手。隣でプレーさせてもらっているのは、本当に幸せですし、学ぶものは本当に多い。守備の強度、球際、予測の質、奪取の回数、前を見る意識などは、段違いでした」
そう話すのは、遠藤の隣でプレーした田中碧だ。記者席から観ていても、遠藤の「予測の質」や「守備の強度」には唸ってしまうほどだった。守勢に回った時の寄せはもちろん、攻めている時も常にチームの綻びに目を配り、敵の逆襲の際も大事に至る前に危険の芽を摘んでいく。また35分には強烈なミドルで、相手GKを強襲した。
この日の攻撃は、久保と堂安が頻繁にポジションを入れ替えた右サイドから展開されることが多かったが、そこを後ろから支えたのは酒井だった。
1 / 3