A代表に数字で露わになる不安材料。前半と後半で大きく違うスタッツとは? (4ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

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 さらに、その後にA代表がつくったチャンスは、守田が伊東を走らせた67分のシーン、川辺駿が浅野を走らせた86分のシーンと、いずれも自陣から繰り出したロングカウンターによるもの。それ以外にチャンスらしいチャンスをつくれず、後半はA代表にとってスコアとは裏腹な、劣勢の状態に終始したというのが現実だった。

 両チームの後半のスタッツを比較しても、それは如実に表れる。まず、U-24が記録した敵陣でのくさびの縦パスは、13本に増加。クロスは、後半開始から前田大然(左サイド)と相馬勇紀(右サイド)が入ったことで活性化し、最終的には計21本を記録した。

 それとは対照的に、A代表が後半に記録した敵陣での縦パスは、わずか4本に激減(そのうち成功は1本のみ)。クロスボールも3本に減少したうえ、そのすべては後半立ち上がり10分間に記録されたものだった(成功は1本)。これらの数字を見ても、いかに後半のA代表が苦戦していたかが見て取れる。

 確かに、後半から主力級が投入されたU-24と比べると、A代表は普段は控えの選手が途中出場した影響があったのは間違いない。しかし、レギュラーとサブの違いが、ここまで戦術の差として露わになったとすれば、それ自体が大きな問題だ。常にベストメンバーで試合に臨んできた指揮官の姿勢が、ネガティブに作用したことになる。

 形としては、3-0というスコアによって面目を保ったA代表。しかし、実際にピッチ上で起こっていた現象は、むしろ危機感を覚えるべき内容だった。もちろん半分以上のレギュラーを欠いてアジア最終予選に臨むことはないにせよ、この問題を少しでも改善するのが、当面このあと3試合の課題であり、注目ポイントになる。

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