日本人No.1ドリブラーは誰か。元日本代表のレジェンドがトップ10を決定 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by AFLO

9位 金田喜稔(元日産自動車)

 日本のドリブラーの歴史を語る上では、入れなければいけない人です。切り返しが得意なドリブラーはたくさんいると思いますが、日本においての元祖はキンタさんです。

 その切り返しがうまい選手は、だいたいキックがうまいか、顔をうまく使える選手です。例えばキックがうまい選手がルックアップすると、対峙するDFは蹴られると思って構えてしまうもので、その瞬間に切り返されると抜かれてしまう。キンタさんもそうした顔と連動したフェイントが本当に巧みな人でした。

 日産時代にキンタさんが左サイドでボールを持った時、中で待つ僕らはクロスが入るタイミングがほぼわかりました。まだ来ない、まだ来ない、まだ来ない......。それだけ切り返しが多いということなんですけど(笑)。相手はその度に動かされているけど、僕らは顔や足の運びの感じを見ていると「今だ!」というのがわかるんですよね。

 やはり「キンタダンス」と言われていたくらいの人なので、切り返しの鋭さや華麗さはすごかった。しかも、そこからさらにまた足技を使うわけです。それは完璧に抜き切るというより、クロスをあげるための間を空ける技。日産の伝統的な技があるんですけど、キンタさんと木村和司さんがやっていて、それを僕らも教えてもらってやっていましたね。もう今のJリーグでやっている人はいないと思います。

 今でもOB戦をやったりすると、キンタさんはもう60歳を超えているのに、まだドリブルで抜こうとするんですよ。信じられないなと思うけれど、それもキンタさんらしいなと思います。本当にこの人はドリブルが好きなんですね(笑)。

8位 駒井善成(コンサドーレ札幌)

 駒井は浦和レッズ時代の、ウイングバックでの活躍が印象に残っています。今あれだけボディフェイントを駆使してドリブルする選手は、ほかにいないでしょう。そこにドリブラーとして魅力を感じます。

 ドリブルを仕掛ける時には、何か取っ掛かりが必要です。それがシザースだったり、足裏でボールを転がしたり、アウトサイドで突っ掛けたりと、いろいろなタイプがいます。そのなかで駒井のウェービングは見ていて面白いですね。上半身を揺らして、相手の重心が動けば、それで突破できる。僕も現役の頃はやっていました。

 足元の技というのはかっこいいと思うんですけど、個人的には、駒井のような上半身でDFをかわしていくドリブラーがもっと出てきてほしいですね。

7位 本山雅志(クランタン・ユナイテッド)

 本山は、相手が出てくるタイミングを見ながらボールを運んで、スルスルっと抜いていくタイプでしたね。東福岡高校時代、高校サッカー選手権決勝の帝京戦で、雪のなかでもスルスルと抜けていく姿は印象的でした。

 ドリブラーはサイドで仕掛けるイメージが強いと思いますが、彼の場合は中央からドリブルを仕掛けられます。中央なので、相手を完全に抜き切ってというより、相手の来るタイミングを外しながら、最後に決定的なパスを通すような感じ。ウインガーとはちょっと毛色の違うタイプのドリブラーだと思います。

 鹿島アントラーズのなかでも異質な存在感があって、ドリブルによってプレーに緩急をつけて、攻撃に変化を与えられる選手だった印象です。

 ギラヴァンツ北九州と契約満了してからはプレーの場がなかったですが、今年からマレーシアリーグのクランタン・ユナイテッドに移籍が決まって、41歳でも現役でいられるのもすばらしいですよね。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る