サプライズ選出や不当な扱いも。外国人監督に翻弄された日本代表の選手たち

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

連載:「日本代表」という肩書に迫る(1)

「日本代表」

 それはサッカー界の肩書として、大きな力を発揮する。たとえ1試合でも、代表は代表。日本サッカーのトップにいたことを示している。たとえばセカンドキャリアにおいても、一定の後押しになるだろう。

 日の丸を背負うことは、たしかに大きな栄誉だ。

 では、日本代表に届かった者、定着できなかった者は何かが劣っていたのか? 代表に選ばれた者は、力で勝っていたのか。両者を分かつものとは――。これは"代表という肩書"に迫る短期集中連載である。

 日本代表として31試合に出場した佐藤寿人だが、ザックジャパンでは出場がなかった日本代表として31試合に出場した佐藤寿人だが、ザックジャパンでは出場がなかった当たり前のことだが、代表にはまず選ぶ者がいる。代表監督だ。

 外国人の代表監督は、サプライズの選出をする傾向にあるだろう。その理由は明白だ。彼らは決定的に情報が足りない。

 メキシコ人ハビエル・アギーレは日本代表監督就任当時、J1のサガン鳥栖でレギュラーの座にも至っていなかったセンターバック、坂井達弥をいきなり選出した。リーグ戦を視察に出かけたスペイン人GKコーチが坂井を見かけて気に入り、招集に至った。左利きセンターバックを探していたが、他にめぼしい選手がいなかったという。

「まずは、手元に置いて見てみよう」

 外国人コーチングスタッフはそんな結論を出したが、物議を醸す選出になった。

 坂井は初代表の試合(2014年のウルグアイ戦)で、果敢にプレーした。しかし、代表レベルでは明らかに物足りなかった。事実、その後は選出されていない。

 大卒ルーキーだった皆川佑介も、新入団したサンフレッチェ広島でJリーガーとして歩み始めたばかりだったが、アギーレに選出された。めぼしいセンターフォワードが少なく、高さとポストプレーと将来性を買われ、白羽の矢が立った。しかし経験が浅すぎ、力不足を露呈。やはり、その後は代表メンバーから外された。

 そしてヴァイッド・ハリルホジッチは、少ないキャップ数の選手をたくさん出した外国人監督の典型だろう。選手の良さを引き出すよりも、自らのサッカー理論に当て込み、納得しないと外した。結果、メンバーが定まらなかった。

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