高校、大学までは無名だったのに...。プロになって大成した選手ベスト5 (4ページ目)
photo by Sano Miki第2位:長谷部 誠
text by Komiya Yoshiyuki
藤枝東高時代の長谷部誠は、冬の全国高校サッカー選手権に出ることがなかったせいか、"全国区の選手"ではなかった。地元Jクラブからのオファーはなく、浦和レッズに入団するも、1年目はリーグ戦出場なし。また、年代別カテゴリーの日本代表にも選ばれてはいるが、補欠的な扱いだった。2003年ワールドユース(現U-20W杯)のメンバーにも選ばれず、藤枝東の1年後輩である成岡翔が主軸として出場していた。
しかし、長谷部はプロの世界で燦然と輝きを放つことになる。
プロ2、3年目に、トップ下だけでなく、ボランチとしてもプレーして出場機会を増やすと、才能が目覚める。ポジションを補完し、迅速かつ効率的にパスをつけ、チームを動かす。戦術適応力の高さを見せるようになった。
そしてプロ7年目で移籍したブンデスリーガで、14シーズンを過ごしている。ボランチだけでなく、サイドハーフ、サイドバック、そしてリベロを担当し、人並外れた万能性で評価を高めてきた。どんな状況でも気を抜かず、図に乗らず、機転が利く。常にいいポジションをとって、味方をカバーし、チームとしてのアドバンテージを積み上げられるのだ。
そのプレースタイルは、先天的か、後天的か。もともと周りへの気遣いができる誠実な選手なのは間違いないが、エリートとして周りからチヤホヤされることなく、自分の生きる道を考えた時に、周囲を考察する力を養うことによって育まれたとも言える。
日本代表としては、主将としての振る舞いも特筆すべきものがあった。特にカオスの中でチームをまとめ、下馬評を覆した2010年南アフリカW杯、2018年ロシアW杯でのマネジメントは、日本サッカー史に刻むべき殊勲。まさに、熟練の賜物だ。
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