シリア戦、カタール戦は、森保一監督続投か否かを判断する試合になる (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 サイド攻撃はどうかと言えば、1試合に何度か、大外を単騎で駆け上がったウイングバックが、ゴール前に放り込む程度だ。その質は限りなく低い。よって、決定機の象徴と言うべき、ゴールライン際から距離の短いマイナスの折り返しがゴール前に送られてくる機会はほとんどない。

 サウジアラビア戦のとくに後半、試合を優勢に進めた日本だが、構築できた決定的チャンスはどれほどあっただろうか。日本のGK大迫敬介(サンフレッチェ広島)がこの試合で2度にわたり披露した美技を、相手GKに幾度させたかと言えば、ゼロだった。決定的なチャンスでも日本はサウジアラビアに上回られていた。

 3-4-2-1上で展開される、真ん中攻撃中心のパスサッカーの非効率性が、白日のもとに晒された試合。その姿は、ジーコジャパン、第2期岡田ジャパン(W杯本大会は除く)と瓜ふたつだった。これでは行き着く先は見えている。これはいま初めて鳴らす警鐘ではない。就任直後から十分予想できたことが、そのまま現実になっているに過ぎない。

 岡田武史監督は、最後に間違いに気づき、南アフリカW杯で従来とまったくコンセプトの異なるサッカーを展開した。土壇場になって賢明な選択をした結果、日本をベスト16に導いた。森保監督はどうなのか。五輪まで半年。このまま突き進めば、金メダルどころかベスト4も怪しくなる。

 シリア戦、カタール戦。残るグループリーグの2試合は、選手選考レースというより、監督続投か否かを判断する試合になる。見られているのは選手ではなく森保監督。選手のミスを残念がるのではなく、自分を心配する時を迎えている。賢明な判断ができるか。優しく、いい人そうな顔をしている森保監督だが、頑固そうな一面を垣間見ることもできるだけに心配だ。

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