Jリーグの日常が投影された試合。苦杯をなめたUー23代表の欠点とは (3ページ目)
最後まであきらめず、何が何でも勝ちにいく姿勢を失わないのは、いい意味での日本らしさではある。だが、一発勝負のトーナメント戦ならともかく、リーグ戦においては、その姿勢がときに自分の首を絞めることにもなりかねない。
3試合をトータルで考えるべきグループリーグ。その初戦であるサウジアラビア戦もそうだった。
おそらくグループ最大の難敵であるサウジアラビアを相手に、1-1のまま試合終盤を迎えたのなら、決勝点を狙いつつも必要以上のリスクは避け、引き分けで終わるのも悪い結果ではなかった。しかも、後半半ばを過ぎると、サウジアラビアには足がつる選手も見られ始め、明らかに動きが落ちていた。最悪でも引き分け、は決して難しいタスクではなかったはずだ。
ところが、最終ラインでのイージーなパスミスからやらずもがなの勝ち越しゴールを与えてしまうのだから、サウジアラビアからしてみれば、まさにタナボタの勝ち点3獲得である。田中碧は終盤の失点について、こう振り返る。
「サウジはとくに後半、(日本が)3バックで(ボールを)回している時、(前線の)3枚で(プレスに)来ていた。(ボランチが1枚落ちて)数で優位性を保てば、もちろんはがせるが、(勝ち越すために)自分は高い位置を取っていた。グループリーグ突破のためには、勝ち点1を取るのも大事。結果論だが、(最終ラインを)4枚で回すほうがよかったかもしれない」
田中碧は「勝ち点1でもいいと、自分のなかでは考えていた」。だが、「(勝ち越しに)いけるんじゃないかというのも(チームの雰囲気として)あった」というなかで、「自分ではわかっているつもりでいたが、結果こうなった。そこは甘さ。もっと大局的にゲームを見ないといけない」と悔やむ。
もちろん、選手だけを責められない。
3枚ある交代枠のうちの2枚は、サウジアラビアに勝ち越しを許した後半ロスタイムに入ってから使うことになったが、その理由について、森保監督は「最後まで攻撃の形自体は悪くなかった。疲労の面でも、選手はまだ十分いけるだけの状態だった」と話す。
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