強化はこれでいいのか?森保ジャパンが抱えている根本的な問題 (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 4-3-3を敷いた韓国のパウロ・ベント監督の狙いははっきりしていた。日本の3バックに対しては3トップが、日本のダブルボランチにはインサイドハーフがプレス。両サイドバックが日本のウイングバックに圧力をかけることで、日本のビルドアップを封じ込めようとしたのである。

 日本が28分に喫した失点は、そんな韓国の狙いが結実したものだった。

 畠中のパスを自陣右サイドで受けた橋岡大樹が、対峙する左SBの3番(キム・ジンス)のプレスを浴びながら前方の鈴木に縦パスを送るも、3番の足に当たったボールを鈴木が触る前に左CBの19番(キム・ヨングォン)がカット。そのボールを3番が中央方向にドリブルで前進し、日本の守備陣を引きつけて16番(ファン・インボム)にパス。16番がプレスバックした田中碧をかわしてミドルシュートを突き刺した。

 畠中がパスをした時、日本の陣形は5バックの状態。試合を通して5バックを崩されたシーンはこれ以外になかったが、その時間帯では日本が自陣に押し込まれるシーンが続いていただけに、失点は必然だったと言える。5バック状態が長く続けば、失点の確率も上がる。森保監督が運用する3-4-2-1の課題が浮き彫りになったシーンだ。

 5バックの状態をどこまで受け入れるのか。受け入れるなら、自陣でボールを奪ったあとに敵陣までボールを運ぶ術を身につけておく必要がある。苦し紛れにボールを蹴るだけでは、セカンドボールを相手に拾われてしまい、5バック状態が続いてしまうからだ。

 よくある解決策としては、ボランチ1人が最終ラインに落ちて3バックとともに4バックを形成し、両ウイングバックを押し上げて相手のプレスを回避する方法がある。

 実際、失点後に3度ほど田中碧が落ちてビルドアップしたシーンでは、韓国の3トップは前からのプレスをあきらめている。そして37分には、その形から敵陣でボールを回し、最後は2次攻撃から左サイドにあがった佐々木翔がクロスを入れるシーンをつくっている。

 問題は、インテンシティーが高く、かつ攻守の切り替えが多い試合展開のなかで、どのタイミングでこの形をつくるかだろう。

 今回の韓国戦は、相手が前に蹴ってくるボールを跳ね返すのが精一杯という "ピンポン"ゲームになったため、落ち着いてビルドアップするタイミングが図りにくかった。そんな展開でプレスを回避する方法を見出すことも、今後の課題として残された。

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