2019.12.11

良くも悪くも森保式サッカーの真骨頂。
「格下」中国戦の勝因とその限界

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 日本、韓国、中国、香港の東アジア4カ国で争われるE-1選手権(釜山)。その初戦で中国と対戦した日本は、鈴木武蔵(北海道コンサドーレ札幌)と三浦弦太(ガンバ大阪)のゴールで後半25分までに2-0としたが、後半45分にゴールを奪われ、2-1のスコアで試合を終えた。

遠藤渓太、橋岡大樹、森島司が代表初出場となった日本の先発メンバー この試合を評価する時、まず触れておくべきは中国の実力だ。スポーツ大国・中国にとって、サッカーは最大の泣きどころだと言われる。実際、この試合の中で技術的に光るプレーを披露した選手はひとりもいなかった。タイ代表のチャナティップ(札幌)やティーラトン(横浜F・マリノス)のように、J1で通用しそうなテクニカルな選手は見つけることはできなかった。

 そのうえ今回の代表は経験の浅い選手ばかり。代表監督もこれが就任初戦だった。この日、ベンチを温めた田中駿汰(大阪体育大学)と小川航基(水戸ホーリーホック)、古賀太陽(柏レイソル)以外、すべてJ1の選手で固めた日本にとって、中国は文字通り格下に値した。

 ところが日本は、開始から20分ぐらいまでその中国に後手を踏む。日本の陣形が相手の陣形に噛み合っていなかったからだ。中国の攻撃を下がった位置で手をこまねき、傍観する恰好になった。それは日本が3バック(3-4-2-1)で臨んだことと密接な関係があった。

 その森保式3バックは、容易に5バックになっていた。フィールドプレーヤー10人のうち、5人が最終ラインに並べば、高い位置からプレッシャーをかける選手は5人。4バック時に比べ1人少なくなる。加えて前の3人(センターフォワードの上田綺世/鹿島アントラーズと、2シャドーの鈴木と森島司/サンフレッチェ広島)が真ん中に固まるので、前方向への進みがいい相手の両サイドバックにプレッシャーがかからない。

 日本は、経験も浅ければ、光る個人もいない中国に、ゲームをコントロールされるという情けない展開を強いられた。ピッチには森保式3バックの特徴が鮮明になっていた。ひと言で言えば守備的。先日J1優勝を飾った横浜FMとは真逆のサッカーだ。中国には番狂わせを起こすチャンスが到来していた、かに見えた。