森保ジャパン、初の完封負け。現在の課題はどこにあるのか? (5ページ目)
まず、後半に入るとコロンビアのテンションが変わった。前半にサボっていた左ウイングのルイス・ムリエル(フィオレンティーナ)も下がって守備をするようになったことがその象徴だ。「日本が疲れた時に攻撃に出た」というカルロス・ケイロス監督の言葉どおり、57分にドゥバン・サパタ(アタランタ)を投入してシステムを4-4-2に変更してからは、リズムは一気にコロンビアに傾き、ほとんど日本が守備に追われる展開となった。
そんななかで生まれたのが、64分の決勝点だった。サパタのシュートがボックス内でブロックにかかった冨安の肘に当たったのは不運だったが、試合の流れからすれば、日本がいつ失点しても不思議はないという時間帯の出来事だった。
しかも相手が4-4-2に並びを変えて押し込まれるなか、森保監督は香川真司(ベジュクタシュ)の投入に踏み切ろうとするも、その直前に失点。ベンチワークで後手を踏んだ格好だ。
システムのバリエーションという点でも、新体制の初陣となったコロンビアに劣ってしまった。鈴木に代えて香川を投入するも、基本的には南野との2トップを維持し、試合の流れを大きく変えることはできず。ゴールこそ奪われなかったものの、66分、67分と立て続けにピンチを招いたことは、選手交代の反省点として挙げておく必要がある。
それは、71分に見せた2枚代え(堂安OUT→乾貴士[アラベス]IN、山口OUT→小林祐希[ヘーレンフェーン]IN)の采配についても同様だ。逆にカルロス・ケイロス監督は、その後、4-2-3-1(82分)、4-1-4-1(87分)と、次第に逃げ切りの采配で試合を終わらせることに成功している。
対する森保監督は、攻撃的に出るための2枚代えを行ないながら、その後は鎌田大地(シント・トロイデン)、安西幸輝(鹿島アントラーズ)と、テスト起用的な交代カードを切っている。
結局、森保ジャパンの課題は残されたままに終わったのが、今回のコロンビア戦だった。たしかに半数以上が入れ替わったメンバーでコロンビアに健闘したと言えるが、今回の親善試合の狙いと、現在の森保ジャパンの課題という視点で見ると、評価できる点があまりなかったと言っていい。
果たして、これらの問題点を残したまま臨むボリビア戦で、森保監督はどのようなアプローチをするのか。昨年の親善試合ではスタメンを大幅に入れ替えるパターンを貫いたが、今回もその流れを踏襲するのか否か。ボリビアの実力を考えれば日本が圧倒する可能性は十分にある。しかし、狙いと課題という部分を基準にして、引き続き内容に注視する必要があるだろう。
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