アジアカップで森保Jのターンオーバーは成功したと言えるのか? (4ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

 ただし、スタメンの選手が「自分のポジションは安泰」と油断しない環境をつくることも大事なことだ。そのためには、ベンチメンバーがターンオーバーで起用された試合で活躍して、スタメン組に刺激を与えることも不可欠。その点で、アジアカップでの日本代表の第3戦は、最高の結果を手にしたといえる。

 こうした戦いができたのも、日本代表の総合力が高まっているからだ。1993年にW杯アメリカ大会のアジア最終予選をドーハで戦った時は、左SBのレギュラーだった都並敏史さんが左足を骨折していてピッチに立てず、最終的に本来CBの勝矢寿延さんが代役をつとめた。それほど選手層は薄かった。日本サッカーのレベルは年々向上してきたが、あの頃と比べれば日本代表の総合力は間違いなくアップしている。

 しかし、W杯で日本代表がフランス代表のような戦いができるかといえば、まだまだ力が足りていないのが現実だろう。だからこそ、アジアカップでの森保監督の選手選考やマネジメントからは、タイトルを狙いながらも、来年の東京五輪や3年後のW杯カタール大会に向けて、若い選手に経験を積ませて成長を促したいという思惑も伝わってきた。

 22年のW杯カタール大会で、日本代表がターンオーバーを有効に使えるレベルに達するためには、総合力をさらに高めていく必要がある。そのためには今回のアジアカップでスタメンを張った選手たちが大きく育つことはもちろんだが、これからの3年間で彼らをベンチに追いやるような選手が現れるかどうかにもかかっている。

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