アジアカップで森保Jのターンオーバーは成功したと言えるのか? (3ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

 第3戦でターンオーバーして戦えるメリットは、それまでスタメン起用した選手を温存し、体力の回復に充てられることだけではない。それまで控えとしてベンチを温めていた選手たちが溜め込んできた「試合に出たい」という欲求やストレスの解消と、決勝トーナメントを見据えたチーム全体のコンディション向上に充てる側面もある。

 また、選手個々の調子の見極めも重要なポイントになる。短期決戦ではどれほど力を持つ選手でも、波に乗れなければ結果を出すことは難しい。とりわけ攻撃的なポジションの選手ほど、これが当てはまる。

 攻撃陣の場合、選手の組み合わせ次第では新たなコンビネーションが生まれるケースもある。また、一人ひとりの特長が異なるため、相手の戦力を見極めて、味方の選手のストロングポイントを活かせるように起用選手を変える方法もある。

 一方、ターンオーバーを守備陣で実施するのは難しさが伴う。DF陣は連携しながら組織で守るケースがあるため、選手を入れ替えたことでDFラインにズレや狂いが生じれば、失点につながる。とりわけ中核選手を代えることはリスクが高い。

 これらを理解したうえで、ベンチメンバーの調子を見定めて、起用選手の優先順位を変えることも指揮官の大事な役目であり、さらに、決勝トーナメントで累積警告による出場停止があった場合への備えや、試合展開に応じた交代で投入する選手のプライオリティを再考する場合もある。

 アジアカップでの森保監督が、1戦目と2戦目に積極的にメンバーチェンジをしなかったのは、第3戦での戦い方を想定していたからだろう。そして、何より大きかったのは、スタメンを入れ替えて臨んだ第3戦に勝ったことだ。この試合は、先発メンバーが様変わりしたことで初めて一緒に戦うメンバー構成になったが、それでもボランチに青山敏弘を配置するなど、森保監督の意図するサッカーを展開したと言える。

 初戦、2戦目とベンチだった選手たちは、3戦目で結果を出せば、「その先でも使われたい」と思うものだ。しかし、彼らの優先順位が上がることはあっても、「即スタメン起用」とはならない。

 よく「競争しろ」とも言われるが、国際大会を戦う代表チームに競争は不要だろう。W杯やアジアカップなどの国際大会で必要なのは「チーム一丸となって戦うこと」であり、競争はそれ以前のところで終えていなければならない。国際大会の期間中もチーム内での選手同士の競争意識を煽れば、選手のオーバーワークやケガ、チームの不協和音を誘発しかねない。また、次戦に向けてのコンディションが整わない事態も招く。

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