アジアカップで森保Jのターンオーバーは成功したと言えるのか? (2ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

 だが、チームには序列が不可欠だ。同じようなレベルのチームを2つ持ち、W杯期間中にローテーションしながら戦うのは至難の業。選手たちはそれぞれが高いプライドを持ち、感情がある。そんな選手たちを2チーム分もマネジメントとするとなれば、コントロールする指揮官の力が及ばなくなるケースも十分ありえる。そうなると、チームが空中分解してしまいかねない。だからこそ、「スタメン」「途中出場」「控え」という役割分担をはっきりさせてチームをひとつにまとめ、勝利に導くことが監督の仕事になる。

 また、代表チームが国際大会でターンオーバーを使用して、選手を数多くピッチに送り出すのは、コンディショニングのためだ。なぜコンディショニングを重視するかといえば、それが優勝するための最重要ファクターだからだ。

 これが1シーズンという長いタームで戦うクラブの場合、獲得したいタイトルのプライオリティによってスタメンを変えることもあれば、故障者や重点的に育成したい若手など、クラブごとの事情や狙いに応じてターンオーバーを敷く。しかし、代表での国際大会は、中3、4日で試合をする短期決戦。そのため一戦必勝で、試合のない日は次の試合に向けた準備に使われる。

 アジアカップでの日本代表について考えてみよう。森保一監督はグループリーグ初戦、2戦目と先発メンバーをほとんど変えることなく戦って2連勝で勝ち点6を積み上げ、第3戦はメンバーを大きく変更して臨んだ。交代枠を使い切らない采配に批判的な論調もあったが、この森保監督の采配の真意は、目的意識が欠落していては気づきにくいものだ。

 もちろん、試合展開や得点差に応じて早めに選手交代をして、次戦への備えをする場合もあるが、大きく選手を入れ替えるターンオーバーができるのは、国際大会の場合はグループリーグの第3戦しかない。

 これはW杯優勝国など強豪国の戦いぶりを見てもわかる。たとえば、ロシアW杯で優勝したフランス代表が1大会での選手起用数が増えた要因は、グループリーグの1、2戦目で連勝し、迎えた第3戦で主力を温存して控えメンバー中心で戦ったからだ。

 W杯ロシア大会の日本代表は、グループリーグ第2戦のセネガル戦を引き分けで終えたが、仮にあそこで勝ち点3を獲得できていたら、第3戦のポーランド戦では主力を温存できた。そうすれば決勝トーナメントでは違う結果を導き出せていたのかもしれない。

 その第3戦でターンオーバーを実行するためには、グループリーグ2戦目までに決勝トーナメント進出を決めていなければならない。そのため、今回のアジアカップの森保ジャパンも、1、2戦は全力で勝ち点3を手にすることを優先したと言える。

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