ベトナム戦の内容ではイランに通用しない。データが示す森保Jの低調ぶり (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 そんななか、日本は、センターバックやボランチがルックアップしたときにパスコースが見つからず、やむなく横パスやバックパスでビルドアップをやり直すというシーンが目立った。ベトナムはトルクメニスタンよりも低い位置で構え、しかも2列目中央の2人がボランチへのプレッシャーより、パスコースを消すことに重点を置いていたことが、その主な原因となった。

 日本は局面を打開すべく、吉田からサイド方向に入れる斜めのロングフィードで相手の守備ブロックを広げ、中央が空いたところで柴崎岳(ヘタフェ)からの縦パスを狙う攻撃を繰り返した。前半に吉田が入れた斜めのフィードは計9本。主に左サイドの長友佑都(ガラタサライ)、原口元気(ハノーファー)へのパス供給が多かった。また、柴崎の縦パスは前半だけで17本を記録している。

 狙いとしては悪くなかったが、ベトナムのスライドが素早く、柴崎が半ば強引に縦パスをつけようとしたことにより、ミスパスや受け手のボールロストが目立ち、結果的に相手の狙いにはまってしまった。吉田が入れた縦パスが引っかかるシーンも、何度か見受けられた。

 結局、前半で日本が作ったチャンスは2度。29分、ショートコーナーの流れから柴崎が入れたクロスをゴール前でフリーになっていた冨安健洋(シント・トロイデン)がヘディングシュートを放ったシーン。もうひとつは、前半終了間際に堂安のパスを斜めに走った南野拓実(ザルツブルク)がニアサイド至近距離から放ったシュートシーンだったが、いずれも相手GKの好セーブに阻まれた。

 逆に、ベトナムのもうひとつの狙いであるカウンターから日本がピンチになるシーンも2度あった。

 まず、14分に酒井宏樹(マルセイユ)のクロスを4番(ブイ・ティエン・ドゥン)がヘッドでクリアしたあと、そのボールをひろった10番(グエン・コン・フォン)がドリブルで冨安を振り切って日本のペナルティエリア付近まで持ち込み、右足を振り抜いたシーン。

 もうひとつは27分、自陣左サイドで堂安を囲み、ボールを奪ったあとに7番(グエン・フイ・フン)から10番にパスをつなげ、再び10番が堂安、冨安を振り切って吉田との1対1になったシーンだ。結局、どちらのシュートも枠をとらえることはなかったが、ヒヤリとさせられたシーンだった。

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