宮本恒靖が語る、アジアカップで
優勝するために必要な「2つの条件」 (5ページ目)
だからこそ、宮本はドイツW杯でも、アジアカップでの成功体験を生かすことが大事だと考えていた。ゆえに、本大会直前の合宿が始まった時、代表選手みんなにこう告げた。
「あのアジアカップの雰囲気を、もう1回作り出すことがこの大会(ドイツW杯)での成功につながると思う。みんなで一緒に、その雰囲気を作っていこう」
だが、宮本の意に反して、選手たちの反応は鈍かった。
2004年アジアカップ優勝チームは国内組中心だったが、ドイツW杯に挑むチームは主力の大半が海外組となっており、メンバーの顔ぶれはかなり変わっていた。つまり、奇跡を起こしたチームの雰囲気を知らない選手が多かったのだ。
そのためか、宮本はドイツW杯で苦い経験をすることになる。
「選手は控えになると、どうしても"負"の要素が出てくる。でも、試合に勝つこと、チームが結果を出すことで、"正"が"負"を覆うようになっていく。それを、実体験できたのが2004年アジアカップであり、その逆だったのが2006年ドイツW杯でした。ともにしんどかったけど、そのふたつを経験できたことは、サッカー人として大きな財産になっています」
ドイツW杯での敗北は、チームの一体感を醸成できなかったことが大きな問題のひとつとなった。2002年日韓共催W杯や2004年アジアカップでの成功例を、その後に続く大事な舞台で生かすことができなかったのだ。
今、UAEでアジアカップを戦う日本代表は、2大会ぶりの優勝を果たし、2022年カタールW杯アジア予選へとつながるチームのベースを作ることができるだろうか。
宮本は言う。
「どうチームが変化していくのか、楽しみにしています」
(おわり)
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