森保Jの失態。ブラジルではなく、サウジ相手にこの苦戦は結構マズい (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 攻め急いで、MF堂安律(フローニンゲン)からFW武藤嘉紀(ニューカッスル)へのパスが合わなかったり、前線でパスを受けたMF南野拓実(ザルツブルク)がせっかくスローダウンして一旦落ち着かせようとボールを下げたのに、DF吉田麻也(サウサンプトン)がすぐにロングボールを蹴ってしまったりと、やることなすことチグハグなうえに、技術的なミスも目立った。ちなみにこの試合のパス成功率は、サウジの85.6%に対し、日本は60.4%である。

 守備に回る時間が長くなるほど、心身ともに消耗しやすい。消耗するから攻撃に出られなくなるし、出たとしてもミスが起こる。ミスが起こるから、守備に回る時間が長くなる。まさに悪循環だった。

 もちろん、常にポゼッションで相手を上回る必要はない。相対的に守備の時間が長くなるのは構わない。そのなかで少ないチャンスを生かし、1点を(しかも、セットプレーで)奪って逃げ切る勝ち方は、試合巧者として身につけておくべきものだろう。

 しかし、残念ながら、サウジアラビア戦はそんな評価に値する試合とは、似て非なるものだった。

 引いて守る相手を崩せない。そんな苦戦を、アジアと世界のダブルスタンダードを抱えるがゆえの苦労と許容するならば、この日のサウジアラビア戦は、アジア勢相手にこんなことをやっていてはいけない種類の苦戦だった。

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