2018.12.19

前園真聖は確信。西野さんは
アトランタ五輪の悔しさを忘れてなかった

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

私が語る「日本サッカー、あの事件の真相」第8回
マイアミの奇跡に隠されたエースの苦悩~前園真聖(3)

(1)から読む>  (2)から読む>

ナイジェリア戦でも「攻撃的に戦いたい」と訴えた前園だったが...。photo by Getty Images アトランタ五輪の初戦でブラジルを破る「マイアミの奇跡」を演じた日本。2戦目も強豪ナイジェリアを敵に回しながら、前半は0-0で終えた。

 キャプテンの前園真聖は、前半の試合展開からして、後方からも押し上げて攻撃の枚数を増やせば、点が取れる可能性が高いという手応えを得ていた。

 点を取って勝てば、次のステージに進める――そう思って、ハーフタイムを迎えると「もっと攻撃に人数を割いてほしい」と、西野朗監督に訴えた。

 しかし、西野監督が首を縦に振ることはなかった。

「おまえの気持ちはよくわかる。でも、チーム全体のことを考えると、(ナイジェリアには)スピードを生かして素早く裏を取れる選手がたくさんいるから、そう簡単には後ろから押し上げることはできない」

 西野監督はリスクを回避して、プランどおりに戦うことを前園に伝えた。だが、前園はハーフタイムが終わるまで、西野監督に食い下がった。

「点を取りたいし、勝ちたいから、そりゃ(自分の意見を)言うよ。ただそれは、監督に反旗を翻したわけじゃない。アトランタ五輪の前から、監督には言いたいことを言っていたし、言いたいことを言えるチームだったからこそ、あのチームは成り立っていた。

 西野さんも、俺の性格をわかっているし、モノを言える環境を作ってくれた。それは、先のロシアW杯でもそうだったと思う。とにかくあの時は、点が取れれば勝てると思っていたんで、かなりしつこく言いました」