福田正博が指摘。アジアカップへ向けて森保Jにはまだ新戦力が必要だ (3ページ目)
キルギス戦の後半、森保監督が柴崎岳(ヘタフェ)を投入して守田とコンビを組ませたのは、所属クラブで出番に恵まれない柴崎に試合勘を取り戻させたい思いのほかに、アジアカップに向けて連係を見ておきたいという狙いもあったのではないだろうか。
アジアカップでのボランチは、遠藤航(シント・トロイデン)が軸になって、青山敏弘(サンフレッチェ広島)、柴崎、三竿建斗(鹿島)、守田と回していく可能性が高いのではないか。ただ、現状では所属クラブで出番のない柴崎は、1月の移籍期間に新たなクラブへ移ったら招集されない可能性もある。森保監督は選手のことを考えて、クラブでしっかりプレー機会を手にすることを優先するはずだ。クラブでコンスタントなプレー機会を得て、そこでパフォーマンスを高めてから、日本代表に合流してくれればいいと考えているはずだ。
森保体制発足当初、ボランチの序列の一番手は青山だったが、いまはそのポジションには遠藤航がいると言ってもいい。ベルギーで経験を重ねている遠藤は、キャプテンシーがあって、パフォーマンスが安定していて計算の立つ選手になってきた。
そのほか、ベネズエラ戦では、日本がビルドアップをする局面で、ベネズエラがボランチにプレッシャーをかけてきた。だが、吉田麻也(サウサンプトン)がリーダーシップを発揮し、ボランチがセンターバックの間に下がって3人でボールを回して、プレスを回避するシーンがあった。こうした「選手が自分で考えて状況に対応できること」こそが、森保監督のマネジメントの最大の武器である。
これまでの日本代表は、外国人監督のもとで細かく指示を受けて、それを忠実に実行することで相手に対応してきた。その結果、選手から主体性がなくなるケースが多かった。しかし、森保監督は選手たちの自主性を尊重しており、信頼もしている。そして、選手たちもそれを意気に感じているのではないか。
アジアカップでは森保ジャパンが苦境に立たされる可能性もある。だが、選手の主体性を伸ばしながらチーム力を高めている森保監督にとっては、それさえもレベルアップのための経験であり、想定の範囲内だろう。アジアカップで日本代表はどんな課題を見つけ、それを乗り越えていくのか。いまから楽しみだ。
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