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高倉監督にも手応え。なでしこジャパンの
変化は着実に実を結んでいる (5ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 攻撃では、代わって入った選手に応じて的確なポジショニングを全員が取れるようになった。得点には至らなかったが、中島依美(INAC神戸)が縦横無尽に走りまわってシュートを放ったり、後半にはCBの熊谷がコンビネーションプレイからシュートに持ち込むなど、流動的な攻撃が最後まで繰り広げられた。

 ここ最近は、あまりの課題の多さに、勝利の後でも厳しい表情を崩すことがなかった高倉監督。翌日にはガイナーレ鳥取U-18との練習試合で招集したすべての選手を起用して最後の活動を打ち上げた。

「ようやく選手の幅が広がってきた。選手も感覚を掴みかけている。人を変えることで化学変化が起きているということは、私自身がやりたいと思っていたことが表現できてきていると感じています」――。

 この試合、この1年を、さらに言えば高倉監督が就任してからの年月を物語る言葉に、結果も内容も伴わない時期も長かった指揮官の苦悩を感じずにはいられない。これでいいのか、これで合っているのか......道を探る作業はこれからも変わらないだろう。苦しみながらタイトルを掴む戦いは選手たちを確実に成長させた。

 ノルウェーのパフォーマンスを度外視した上ではあるが、それでもこれだけ選手が代わっても、攻撃力を落とすことなくカラーを変えていく順応性は今までになく高かった。当然のことながら世界を制すには、まだまだ力及ばない現状だが、選手達が迷いながらも懸命に走り続けてきた道は間違ってはいなかったと、自信を持って言える90分間だったのではないだろうか。

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