サブ降格を経験した背番号10、三好康児がアジア大会で学んだこと (4ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 もうひとつは韓国戦前日のことである。「サウジアラビア戦の前日、すごく明るい表情だったから、先発だと思っていた。あの時点で試合に出られないかもしれない、とわかっていた?」と訊ねると、「だいたいわかっていました。でも、出られないからといって、それで取材対応の態度を変えることはないですから」と柔らかな表情で返してきた。

 川崎フロンターレのアカデミー出身で、しかもU-12チーム創設の1期生である三好は同期の板倉滉(ベガルタ仙台)とともにクラブによって大切に育てられ、サポーターからたくさんの愛情を注がれてきた。

 だが、プロ4年目の今季、自らの意志で居心地のいい環境から飛び出し、新天地でポジションを掴み取り、J1での試合経験を積んでいる。そして、今大会ではキャプテンに任命され、レギュラーの座をいったん失い、韓国との決勝で自身のパフォーマンスを取り戻し、韓国の選手たちが喜びを爆発させる姿を脳裏に焼きつけた――。この経験は、三好にとってかけがえのない財産となるのは間違いない。

 これまでとは異なる経験を積んだこの8ヵ月間で、三好は好青年から大人のフットボーラーへと変貌を遂げている。

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