日本サッカーの未来は明るくない。
悪しき「8年サイクル」から脱出へ (2ページ目)
ただし、喜ぶのはファンの自由だが、選手、監督、サッカー関係者、そしてメディアに携わる人間は、その歓迎ムードに流されるだけではいけない。厳しい目で大会を振り返り、同時にこれまでの強化とのつながりについても議論を重ね、検証する必要がある。それこそが、8年サイクルから脱出するきっかけになるからだ。
「結局、僕たちが勝てたのは10人のコロンビアだけだった」
ベルギー戦後、ピッチに座り込む乾貴士 今大会をそのように振り返ったのは、ベルギー戦後のミックスゾーンに現れた乾貴士だった。その言葉を聞いた時、選手たちが自分たちの残した足跡について冷静かつ客観的に振り返ることができていることがわかって、妙に安心したことを思い出す。
そこにもうひとつ付け加えさせてもらえば、今回グループリーグ突破を果たせた最大のポイントは、コロンビア戦の開始2分の場面にあったということだ。
相手のハンドによってPKのチャンスを得て、ハンドを犯した相手のキーマンが退場し、香川真司がPKを決めた。1点リードというアドバンテージを得た日本は、ほぼ1試合を10人になったコロンビアと戦うことができた。
それがなければ初戦で勝ち点3は得られなかったかもしれないし、日本が決勝トーナメントに進出できなかった可能性は十分にある。"たられば"の話ではあるが、大会を振り返る時は、敢えてコロンビア戦をそのような視点で見つめ直す必要があるのではないか。
もちろん、日本がグループリーグ3試合で勝ち点4を獲得できた背景には、ピッチ上の選手が持てる力を発揮できていたという要因もあった。緊急就任した監督が、付け焼刃の戦術を短期間で植えつけるのではなく、選手の意見を汲み取りながらいい雰囲気の中でチームを作ったことが、結果的には奏功したといえるだろう。
ただ、選手任せの戦術に頼ったチームでは、W杯で通用しないことが判明したことも確かだった。ここではあらためて各試合のディティールは触れないが、特にベルギー戦の後半にその問題が露呈したことで、最後に涙を呑んだことは動かしようのない事実だ。
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