スペインの名将が、乾&香川に賛辞。「W杯でもサプライズとなりうる」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 松岡健三郎/アフロ●写真 photo by AFLO

 そこで気になったのが、攻撃から守備への切り替えの遅さである。長谷部誠がいれば、そこまで目立たなかったのかもしれない。しかし、この日、先発した柴崎岳と山口蛍は守備面で物足りなさがあった。

 柴崎の攻撃的なセンスはすばらしく、周囲と連係して決定的な仕事ができる。一方で、出場した試合のほとんどの失点シーンには、その前後に彼の影があって、守備の強度に問題を抱えている。山口のポテンシャルについては間違いなく、ロンドン五輪前から注目してきた。周囲をカバーし、チーム全体を動かす役割を、昨年のベルギー戦はできていた。しかし、パラグアイ戦では危なっかしかった」

 前半32分。パラグアイは右タッチラインのスローインからペナルティエリアにボールを入れる。日本はこれをクリアし切れず、こぼれ球を拾われ、オスカル・ロメロに先制点を叩き込まれた。

「まず、エリア内の球際の争いで、柴崎のファイトは不十分だった。また、バウンドしたボールに対し、昌子源も寄せが甘い。そして東口順昭も反応できたはずのレベルのシュートだった。もっとも、GKは密集したディフェンスのせいで、球の軌道が見えなかったのだろう。

 この失点の問題は、守備強度の低さもあるが、それだけではない。後ろに人がいるだけで、ポジション的な優位を失い、むしろ不利になってしまっていた点にある。日本は2失点目でも同じようなミスを犯している」

 エチャリの洞察力は日本のミスを見逃さなかった。先制点は失った日本だが、後半に入ると、乾貴士が2得点を決めて逆転に成功する。

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