スペインの名将がウクライナ戦に苦言。「日本は1対1の決闘をするな」 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Sano Miki

"慧眼(けいがん)"と言われる男は、核心に迫る。

「この日、酒井高はコノプリャンカの突破に手を焼いて、簡単に裏を取られすぎていたが、本田がいなくなって"炎上"する。75分、コノプリャンカがスピードを上げたドリブルをしたとき、酒井高は一発勝負を挑み、抜き去られてしまう。これを山口がカバーするが、彼もスライディングでかわされる。コノプリャンカに選択肢と時間的猶予を与えた後、クロスをマイナス気味に折り返され、後ろから入ってきた選手にミドルを叩き込まれた。

 その後も、日本は2回、ロジカルに右サイドを切り崩されている。川島のセービングや幸運によって、追加点を免れたにすぎない。この数分間で戦術の不具合が露呈し、大差がついてもおかしくはなかった。

 興味深いのは、マリ戦もそうだったが、日本はリードされた展開で終盤、一気にプレーレベルが上がることだ。入らなかったものの、小林悠の落としたボールにアプローチした中島翔哉の2本のシュートは強烈だった。マリ戦のようにはいかなかったが......」

 そしてエチャリはワールドカップに向け、最後にひとつの提言をしている。

「日本は、"一昨年のオーストラリア戦のような試合を90分間やり抜く"という決意を固めるべきだろう。

 日本人選手には速さと持久力があるが、パワーは足りず、1対1の決闘にすべてを託すのは得策ではない。そこで中盤には人を増やし、サイドに速さを持ち味にする選手を入れるのもひとつの手だろう。長谷部をアンカーに、山口、井手口陽介を並べ、両サイドに原口、本田、切り札に乾貴士という4-1-4-1もあり得るのではないか」
(日本代表選手の個別評価に続く)

◆名伯楽エチャリ氏が「マリ戦の日本」にまさかの評価。えっ、なんで?>>

◆メッシ、試合中ほぼ歩きながら決勝ゴール。バルサ通3人も驚く効率>>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る