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7年前も見た「攻め手なし」の光景。
ハリルJに何を期待すればいいのか (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 おそらく選手にしても、無理があるとは感じながらも、強引な攻撃に出るしかなかったのだろう。試合を通じて選手同士でプレーの狙いが一致せず、パスが合わないことは多かった。パスを出した選手が、自分が狙ったところへ動いてくれなかった選手に向かって、身振り手振りで「そこへ走り込めよ!」とアピールする姿が目についた。

 まずは人数を割いて守りを固め、奪ったボールを縦方向へ速い攻撃につなげる。そんなサッカーも、少なくとも現段階においては、このレベルの相手には通用していない。

 ハリルホジッチ監督も「どんなチームからでもボールを奪える」と自信を見せる一方で、「ボールを奪ったあとの冷静さ」を課題に挙げる。相手の攻撃を止めることまではできても、自分たちの攻撃につなげることはできていない、ということだ。

 2年前から指揮を執る監督にとっては、ある意味新鮮な収穫でも、いつかどこかで見た光景、なのである。ハリルホジッチ監督就任後、日本代表の「大敗しない可能性」は高まっているのかもしれないが、「勝つ可能性」が高まっているのかどうかは疑わしい。

 短期的に見て、来年のW杯で前回大会(1分け2敗、得点2失点6と、酷いものだった)よりも成績がよくなる可能性はあるだろう。だが、長期的に見て、それで日本代表が前進していると言えるのか。前進していないにしても、せめて正しい道を進んでいると言えるのか。

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