なぜ五輪代表に森保一監督なのか。技術委員長はコンセプトを語るべき (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by AFLO

 それは森保監督の前任者で、2012年から浦和レッズの監督の座に就いたミハイロ・ペトロビッチと同じスタイルだ。広島の前監督が採用していた布陣を、森保監督はそのまま引き継いだ格好だ。

 森保監督の監督としての経験は、その広島時代のみ。つまりそれ以外の方法論で戦ったことがない。だから森保監督と言えば、決して攻撃的ではない可変式の3バックを採用する監督というイメージしか湧いてこないのだ。ほぼひとつの布陣でしか戦ったことがない監督。それ以外のスタイルで戦う姿を見たことがない監督。

 かなり特異な監督が日本の五輪代表監督の座に就いたのである。世の中が静かでいる理由がよくわからない。一方で、ハリルホジッチのサッカーを批判する姿は、愚かと言う以外にない。

 ハリルホジッチの任期は来年6月、W杯終了時までだ。その直後には代表の新監督探しを行なう必要が生じる。それなりの監督を探し出す力が、協会や西野技術委員長にはあるのだろうか。日本サッカーのあるべき姿、方向性、コンセプトをファンに提示することができるだろうか。

 なぜ森保監督なのか。10月30日にその就任記者会見が行なわれる。その席で、西野氏はハッキリと語るべきである。そうでないとファンの目は肥えない。競技力も向上しない。サッカー界全体のレベルを上げるツボ。コンセプトを最高責任者が語ることは、それくらい重要な手続きだと僕は考えている。

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