なでしこジャパン異色の29歳、
櫨(はじ)まどかは攻撃の要となるか

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

アメリカ遠征以来、なでしこ召集2度目の櫨まどかアメリカ遠征以来、なでしこ召集2度目の櫨まどか 10月22日、長野で開催されたMS&ADカップ2017で、なでしこジャパンはスイスを2-0で下した。

 台風の影響から大粒の雨が降りしきる中、キックオフを迎えたスイスとの一戦。立ち上がりこそ、スイスに攻め込まれたものの、日本は徐々にペースを掴んでいく。スタートのピッチには4-2-3-1の布陣が敷かれ、1トップの横山久美(フランクフルト)だけでなく、右の櫨(はじ)まどか(伊賀)、左の籾木結花(日テレ・ベレーザ)のサイドハーフ、中の長谷川唯(日テレ・ベレーザ)が内へ外へとポジションを変化させながらゴールに向かう。しかし、最大の課題であるコンビネーションはなかなか形にならない。平均身長で10センチ以上も上回るスイスの長いリーチはことごとく日本のフィニッシュを削っていった。

 ようやくスコアが動いたのは69分。櫨のスルーパスに反応した中島依美(INAC神戸)が、そのまま自身で持ち込み一気に右足を振り抜く。一度はDFに阻まれたが、こぼれ球を再び一蹴。ゴールネットに突き刺した。中島の技量は誰もが認めるところだが、味方を生かそうとするあまり、自身の強みが薄れてしまう時期もあった。

"積極的""自分で持ち込む"――自身に言い聞かせるようにして試合に臨み、サイドの持ち場だけでなく、隙あらば中央まで切り込んでいく中島の姿は今ではもう珍しくなくなった。この貴重な先制弾に、苦悩のあとに訪れた彼女の確かな成長を見た気がした。

 終了間際には、何度も狙い続けたDF裏のスペースでボールを受けた田中美南(日テレ・ベレーザ)が渾身の一撃。「惑わされるかな?と思って1回中を見たことで、うまくコースが切れた」というシュートは、DFの足先ギリギリのところをかいくぐっていった。

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