12年前に中東の地で、なぜ福西崇史は中田英寿と言い争ったのか (3ページ目)
ふたりのやり取りは、ジェスチャーも交えてかなり激しいものだった。傍から見れば、"喧嘩"しているように見えただろう。しかし、福西は淡々と、ボールの追い方だけでなく、中田のプレーの特性をも考えて話をしていたという。
「『喧嘩』って言われたけど、俺はもともとそんなに熱くならないし、ヒデとも冷静に話をしていた。言葉は荒っぽかったかもしれないけど、それはサッカーでは普通のこと。
俺は、ヒデの攻撃力とか、よさを消したくないと思っていた。だからこそ、後ろとの関係性をより大事にしたいと思っていた。それで、(自分も含めて)後ろだけで守り切れるなら、ヒデを守備に戻したくはない。もちろん4バックなので、どうしてもひとりズラされるとヒデは右サイドに戻って来ないといけないんだけど。実際、(中田は)気を使って戻って来てくれる。
でも、そうなると(ボールを奪ったあと)、俺が(前に)ボールを預けるところがひとり減ってしまうので、攻撃にとってはよくない。できるだけ(中田には)前でプレーしてほしいんだけど、そこをどうしようかという話をした」
中田と福西が激しく"口論"するなか、しばらくして小野をはじめ、宮本や周囲の選手も加わって、輪になった。そうして、全体での守備のやり方について、話し合いが始まった。
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