19年W杯、20年東京五輪へ。新生なでしこのベースはできあがった (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 1点をリードした後半は、交代して入った若い力が躍動した。ゴールまであと一歩のところまで攻め入るも、なかなかゴールを奪えずにいた田中の待望のゴールを演出したのは、昨年のFIFA U-20女子ワールドカップの得点王・上野真実(愛媛FC)だった。

 2トップの一角に入った166cmの上野は、左サイドへ流れて長谷川からのパスを受け、チラリとゴール前に目をやると、グラウンダーのボールを一気にDF裏へ蹴り込む。そこへ走り込んだ田中がきっちり合わせた。FW陣の中では長身の上野はポストプレーを得意とするが、足元の技術もかなり高い。何より彼女が持つゴール嗅覚がなでしこジャパンでも十分に通用するレベルにあることが証明された。これで、またひとつ前線にオプションを加えることができそうだ。

 今回は対戦相手のコスタリカがそこまでハードなプレスをかけてくる相手ではなかったからこそ、ここまでイニシアチブを取ることができたともいえる。それでも、このチームにとって成功体験は大切だ。さらに、ケガ人続出で両サイドバックが手薄であることや、メンバーを固定できない状況下で、もがいてきたからこそ見えた形もある。

「やろうとしていること、やるべきことは練習中もずっと監督からも伝えてもらっているし、自分たちも意識して取り組もうとしている。アメリカ、スウェーデンへの遠征、アルガルベカップと、今日の親善試合を重ねていく中でチームとして少しずつ形になってきているところはある」とは熊谷は言う。

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