【検証】消えたリオ五輪。なでしこに何が起きていたのか? (4ページ目)
どんな逆境でも、立ち戻る基本形があれば、そこからやり直すことができる。近年のなでしこジャパンには立ち戻れる形が存在しなかった。いくら高度な戦術や技術があっても、ボールを奪えなければ、クロスもフィニッシュも精度を上げる段階にすら持っていくことができない。土台のないところには何も建たないのである。
2月の沖縄キャンプで、連動したプレスをテーマにした練習メニューが1日行なわれた日があった。その一度だけで、選手たちは確かにコツを掴んでいた。新しい布陣になれば、全員が初めて経験する連動になる。そこにベテランも若手もない。たった1日のメニューで選手たちには立ち戻るヒントが生まれていただけに、海外組が合流した際にもう一度新たな連動を生み出せなかったことが悔やまれる。なでしこの神髄とも言える連動に関しては、できるはず、と過信するのではなく、できるまでやらなければならなかった。
対外試合を設けなかったことや、選考が初戦直前までズレ込んだこと、采配や起用のブレなど、この予選に関わる問題点も多々存在する。だが、すべてがそれ以前のプロセスにも深く起因していることにも目を向けなければ、真の変革は叶わない。
(つづく)
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