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【検証】消えたリオ五輪。なでしこに何が起きていたのか? (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 アメリカの作戦にもろくも崩れた決勝戦がチーム状況を的確に表していたにも関わらず、準優勝という結果に押し流された。その傾向はこの予選にまで及んでいた。最終メンバーが決定したのは初戦の始まる4日前のこと。ここからでもチームを固められるという計算があってのことだと察するが、そこに佐々木監督の過信があったように思えてならない。

「ベースはある。あとは精度を上げれば」とは佐々木監督の言葉だ。なでしこが目指すのは連動したプレーである。しかし、かねてよりスタメンから3名変われば全く違うチームになってしまうほど、それぞれの距離感によってなでしこのサッカーは成り立っている。

 1年でも選手たちは成長し、距離感は確実に変わる。確かに各選手たちの中に共通した方向性はあったが、この4年間、土台が改築されることはなかった。

 大会によって旬の選手も変わるものだ。ましてや招集される選手が変わればなおのこと、どこからどのタイミングでプレスをかけ、どう連動するか、土台の仕様を調整しながら作り変えていく作業が必要だった。指揮官が思う以上に選手たちは不器用に見えた。

 自分たちの力は勢いに押されただけのメッキではないだろうか、いつかはがれるのではないだろうか――選手の多くは結果を出しながらも不安を抱えていた。だからこそ、反復して体で覚え、ミーティングを繰り返す。そこから新たに積み上げていきたいところだが、海外遠征では、いつもそこまでたどり着けずに時間切れを迎え、不安を抱えたままチームが解散する。その繰り返しだった。

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