若手起用がダメとは言えない、遠藤航と柏木陽介「明暗」の真相 (3ページ目)
日本は前半、DFラインの背後よりも、むしろ相手が守備ブロックを作って待ち構えている狭いエリアへ、無理に突っ込んでいくような攻撃が目立った。遠藤が言う。
「オカさん(FW岡崎慎司)と(MF香川)真司くんのところでの縦のコンビネーションをやっていこうという指示もあったので、その辺の崩しを自分が縦に(パスを)入れることによってできればよかったけど、相手も密集していたので難しさはあった」
前半に関して言えば、やはり遠藤個人というよりも、チームとしての攻撃の狙いに問題があったことは否めない。遠藤は、「でも自分のミスも多かったし、代えられたのはしょうがない」と潔く認めたが、決して遠藤を外したことが理由でチームは好転し始めたわけではない。攻守両面において、それほど前半はチーム全体の機能性が低かった。
柏木が「(本田)圭佑くんにも『オレが(裏に)飛び出たらボールをくれ』って言われていて、その瞬間にパスを出すこともできた。そうやってみんなで話し合いながら意思の疎通ができていたし、チームとして後半、どうやっていくのかっていうところでは、前半の問題点を改善できた」と振り返った後半との違いである。
結果として、ふたりのボランチの明暗を鮮明に分けることになったカンボジア戦。だが、試合前日にキャプテンのMF長谷部誠が、「こういう予選を通じて若手が成長するのは必要なこと」と語っていたように、3年後のロシアW杯を見据えるならば、20代前半の若い選手が台頭してくることは不可欠な要素である。せっかく伸び盛りにある22歳の選手を、この1試合で不合格にしてしまってはもったいない。
これをきっかけに「やはり若い選手では厳しい」というムードが蔓延してしまわないことを望みたい。
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