若手起用がダメとは言えない、遠藤航と柏木陽介「明暗」の真相

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 W杯アジア2次予選、カンボジア戦。前半は守備を固めるカンボジアを攻めあぐね、逆にカウンターから攻め込まれることも多かった。前半だけなら、カンボジアの狙いどおりに進んだ試合だったと言っていい。

 ところが、そんな前半の試合展開から一転、後半に入ると日本が次々にチャンスを作り、2-0で勝利した。

 ハーフタイムを境に試合の流れを変えるきっかけとなったのが、MF柏木陽介の投入である。

 MF山口蛍とともに2ボランチを組んでいたMF遠藤航に代わり、後半から柏木がピッチに入ると、背番号7の左足から放たれる敵DFラインの背後を狙った浮き球のパスで、日本は次々とチャンスを作った。

 終わってみれば、5日前に行なわれたシンガポール戦(3-0)に続き、柏木の存在ばかりを際立たせる結果となった。対照的に、前半45分間のみの出場で退いた遠藤は、あたかも前半の"戦犯"であったかのようだ。

カンボジア戦で途中交代し、やや評価を下げてしまった遠藤航(右)。カンボジア戦で途中交代し、やや評価を下げてしまった遠藤航(右)。 確かにこの日の遠藤はパスミスをはじめとするボールコントロールの乱れが目立ち、自らのミスからカウンターを受けるピンチも招いた。だが、イージーミスが見られたことは柏木も同様であり、柏木個人が特別にスーパーな仕事をしたかというと疑問は残る。

 チームとしてのゲームプランを含めた試合展開のアヤが、ふたりの(あくまでも印象として)明暗を分けはしたが、だからと言って、柏木は「二重丸」、遠藤は「バツ」と評価してしまうのは、あまりフェアではないように思う。

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