原口元気、ドイツでの苦悩「こんなに自信を失ったのは人生初」 (5ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun

 ところで、シーズン終盤戦、原口の調子が上がってきたものの、チームは残留争いを強いられた(最終的には15位で残留)。また、原口もポジションを確保したとはいえ、得点はシャルケ戦での1点のみに止まっていた。それらの問題を抱えながら、原口はどんな気持ちで戦っていたのだろうか。

「チームが残留争いに加わっている中、監督は守備に重点を置いていた。そこで、自分が一番がんばっていたから、試合に出られたと思うんです。それで、残留できたのはよかったんですけど、シャルケ戦以降、点が取れていなかった。ある日、大迫(勇也/ケルン)くんとも『守備をやり過ぎたら、結果(ゴール)は出ないよね』という話をしたんですけど、そこなんですよね。だから、来シーズンは守備と攻撃のバランスをいかに取るかが重要になる。本当は、100%守備をやり続けて、そのうえで結果を出せたら一番いいけど、それはなかなか難しい。そこで今、ちょっと考えていることがあるんですよ」

 原口が、ニヤリと笑って続ける。

「トップ下のポジションを奪いたい。ヘルタのトップ下は、カウンター主体なんで、ゲームを作る感じじゃないし、サイドほど下がらなくてもいい。下がったとしてもハーフウェーラインくらいまでなので、カウンターで前に出て行くにはちょうどいいんです。そうすれば、ゴールを奪える可能性も高まる。サイドでやっているとき、いつも『トップ下はいいなぁ』って思っていましたからね。おそらく今季も、まずはサイドからのスタートになると思うけど、しっかりと得点を挙げて、トップ下を奪いたい。そうして、ヘルタできちんと結果を出して評価を上げて、次につなげていきたいですね」

 ドイツでの最初のシーズンは、山あり、谷ありの1年だった。だが、その1年を乗り越えて、原口はひと回り成長した。持ち前の尖った部分を内に秘めながらも、思い描く野心を隠そうとはしなかった。2年目、トップ下のポジションを奪って「飛躍のシーズン」にする決意だ。
(後編へつづく)

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