日本代表のエースへ。宇佐美貴史が本気になった瞬間 (2ページ目)
宇佐美の"変化"をすぐに感じ取ったのは、ガンバのチームメイトであるMF今野泰幸だった。Jリーグのある試合中、今野は宇佐美からこんな要求を受けた。
「(ボールを)裏に出して」
宇佐美のその言葉に、今野は驚きを隠せなかった。思わず、「えっ? 裏?」と聞き返したという。そのときのことを振り返りながら、今野は宇佐美の成長ぶりを次のように語った。
「貴史が裏を狙うイメージはなかったけど、『(相手の裏に)アバウトでもいいから(ボールを)蹴って』と貴史が言ってきた。その言葉を聞いたとき、『すげぇなぁ~、貴史は変わろうとしているんだなぁ』って思ったんです。実際、ハリルホジッチ監督に(代表に)呼ばれてチームに帰ってきてから、(宇佐美の)プレイはすごく変わりましたね。昨年は、どちらかというと、攻撃面に体力を残しておきたいような感じだったけれども、今はどんな状況でもチームのために走っている。相手のボールを奪取するために、スライディングとかもするようになった。このまま貴史が本気で守備をやって、(相手の)パスコースを限定したり、ボールを奪ってくれたりして、そのうえで今までのような攻撃力を発揮していくことができれば、100%、代表のエースになれると思う。海外でも成功すると思います」
今野が語るとおり、最近の宇佐美のプレイには大きな変化が見られる。以前は相手選手が自分の横を抜けて上がっていっても、ただ見ていることが多かった。それが今は、相手選手を追いかけていくようになった。また、攻撃では相手の裏を狙うのはもちろんのこと、裏に行くと見せかけて戻ったり、他のスペースを突いたりして、ボールを受けるために、さまざまな変化をつける動きが目立つようになった。
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