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W杯予選初戦ドローでもハリルホジッチに期待できるワケ (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Takahashi Manabu

 ハリルホジッチに"トルシエ・テイスト"を感じたのは、シンガポール戦後が初めてではない。

 それまでの記者会見でも、「選手はワールドカップとアジアカップの結果がトラウマになっている」としたうえで、「勇気づけたい」や「これまでにチームがやっていたことを抜本的に変えたい」と発言するなど、選手との主従関係を明確にしようとする自己主張は強い。

 アルベルト・ザッケローニを筆頭に、このところの日本代表監督がよくも悪くも"いい人"だったのに対し、ハリルホジッチは"毒"があるという点でトルシエとよく似ている。

 たとえば、来年の日本代表のスケジュールについては、「監督としてアイデアを出したい。日本代表に関してもう少し野心を持ってもらい、私に時間をいただきたい」と、日本サッカー協会をけん制するような発言までしている。

 さて、こうしてハリルホジッチとトルシエの共通点をいくつか挙げてくると、どこかネガティブな印象を与えてしまうかもしれない。だが、ここで言いたいのはそういうことではない。むしろ逆だ。

 最近の日本代表監督は"雇い主"である日本サッカー協会との間に波風を立てることはなかったが、ハリルホジッチは違う。トルシエは1999年ワールドユースでナイジェリアへ渡航するにあたり、選手の予防接種が必要か否かでもめたのを手始めに、しばしば日本サッカー協会と意見がぶつかっていた。それと同様に、ハリルホジッチもまた、自らの理想を追求するためなら強硬姿勢も辞さない。日本代表監督がそんな気構えでいてくれるなら、それは歓迎すべきことだ。

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