本田圭佑の言葉に見つけた「世界に勝つためのヒント」 (3ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi  山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 なぜ、口で言うほど簡単ではないのか。

 パスをつないで崩す「遅攻」には正確な技術が必要となり、速攻で仕留めるにはスピードと勢いが大事――そんな誤解があるかもしれないが、実は速攻のほうが、求められる技術は圧倒的に高い。

 パスの出し手も受け手もトップスピードで走りながら、それでいて「止める・蹴る」の正確な技術と、「どこに出す・どこに走る」といった正確な判断が求められるからだ。

 本田がなおも続ける。

「トレーニング中にそうしたシチュエーションがあれば、意識してトップスピードでもらうような要求をし合うのが必要かもしれないですね。実際、ブラジル代表はあのスピードでカウンターを完結させるから、どんな相手でも6〜7点取って勝ったりするでしょう」

 ブラジルの速攻には、日本もずいぶんと痛い目に遭っている。

 2012年には0−4、2013年には0−3、2014年にも0−4で敗れたが、ボールを保持していた日本が中盤でブラジルの網にかかり、少ないパス数であっという間にゴール前に攻め込まれ、フィニッシュまで持ち込まれたシーンが何度もあった。

 ゴール前で3対3、いや、3対4とひとり少ないぐらいでも、ブラジルは確実にシュートに結びつけてくる。ボール保持者がDFを2人、3人と引きつけておいてから、鮮やかにラストパス――。

「ブラジルってカウンターがすごくうまいんですよ」

 そう言ったのは、2012年のブラジル戦に出場し、所属クラブではジュニーニョ(元川崎フロンターレなど)を筆頭にブラジル人アタッカーを操る立場だった川崎フロンターレの中村憲剛である。

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