本田圭佑の言葉に見つけた「世界に勝つためのヒント」 (5ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi  山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 筆者も、サッカーにおいて型を作るという考えには共感している。

 例えば野球では、カウント別やランナーの状況別のセオリー、バントシフトや中継プレーのセオリーなど、プロ・アマ問わず浸透しているものが少なくない。

 それに比べてサッカーは、即興性が強いスポーツとの認識があるためか、岡田氏も言うように、日本では型やセオリーがそこまで浸透していないように感じられる。

 それでも近年、バルセロナの影響もあって日本でも、「誰が、どのタイミングで、どの角度でサポートすれば、ボールを回しやすいか」といったポゼッションの型、セオリーが確立されてきたように感じるが、速攻の場合は、「行き当たりばったり」のケースも多く、3対3の状況を作っても、シュートに持ち込めない場面をJリーグでもよく目にする。

 だが、遅攻よりも難易度が高い速攻のほうが、「型」が必要になる。今の日本代表が「縦に速い攻撃」を志向しているのなら、なおさらだ。

 イラク戦の3点目。宇佐美の仕掛けとコース取り、岡崎のDFから逃げる動き、本田の囮(おとり)となる走りは素晴らしかった。これを、その場のイマジネーションによる産物ではなく、チームの型、セオリー、共通理解にまで昇華させれば、日本の本物の武器となる。

 本田が話したのは練習における意識の問題だったが、「監督のトレーニングはいろいろとサプライズが多い」と本田も言うだけに、もしかすると、ハリルホジッチ監督はすでに速攻の精度をより高めるためのメニューを用意しているのかもしれない。

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