ハリルJのサッカー実現には、「アンカー・本田圭佑」が最適 (4ページ目)
アンカー・本田が、速くて正確な攻撃を実演する
木崎伸也(サッカージャーナリスト)
木崎伸也氏が選出した「ベスト11」。 ハリルホジッチ監督のもとで2試合(2-0チュニジア、5-1ウズベキスタン)を終えてひとつ見えてきたのは、「ポジションにとらわれない」という哲学だと思う。
ウズベキスタン戦では、本来はセンターバックの水本裕貴(サンフレッチェ広島)が後半からアンカーの位置に入り、ボランチが本職の柴崎岳(鹿島アントラーズ)はトップ下として途中出場した。
チームとしての機能を実現するために、ポジションの専門性にこだわらない――。これからハリルホジッチ監督のもとでは、驚くような“コンバート”がたくさん見られるのではないだろうか。
あえてその視点に立って、ハリルホジッチ監督が好みそうな配置転換を想像してみた。システムは、3−5−1−1。中盤は、本田圭佑をアンカーに置き、その前に山口蛍と長友佑都が構える逆三角形型である。
ハリルホジッチ監督が描くサッカーを理解するには、布陣を3つのゾーンに分ける必要があると思う。ひとつ目は、「最終ライン+アンカー」という後方部だ。
ハリルホジッチ監督は「縦に速く攻める」コンセプトが注目されているが、ただ闇雲に速く攻めればいいというわけではない。例えば、練習ではサイドバックが前線の選手の足もとに正確にロングパスを通すメニューを課し、いろいろな場面で「速くて、かつ正確に」という狙いが伝わってきた。
後方の選手には、正確なビルドアップの能力が求められるということだ。それを考慮しての“アンカー”本田である。ロングパスの正確性と創造性は日本屈指だろう。イタリア代表のピルロやドイツ代表のクロースのような中盤の底のフリーマン、そんなイメージだ。奇想天外なハリルホジッチ監督なら、これくらい大胆なコンバートをやってのける気がする。
ふたつ目のゾーンは、中央部。ここにはとにかく上下にアップダウンを繰り返す、無尽蔵の運動量が求められる。その特性を考えると、長友や山口がうってつけだ。特に長友のドリブル力はスペースが広がったときに、チームとして助かるだろう。縦に速く攻めると前後が分断されやすくなるが、リンクマンがいれば、齟齬(そご)を最小限にとどめられる。
3つ目は、前方部。求められるのは、速攻を完結する力だ。裏を狙い続けられる岡崎慎司と、ドリブルによって崩せる宇佐美貴史(もしくは乾貴士)という異なるタイプを組ませることで、相手に捕まらない攻撃をできると考えた。
ここで予想したコンバートは“大穴”ばかりかもしれないが、きっとハリルホジッチ監督は常識にとらわれない起用で日本サッカーを驚かせるはずだ。
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