アルガルベ杯直前。なでしこに「レギュラー争い」の緊張感

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 いよいよ連覇のかかるFIFA女子ワールドカップが6月に迫った。その前哨戦としてなでしこジャパンが挑もうとしているのが毎年3月に開催されるアルガルベカップ(ポルトガル)だ。今年も、FIFAランキング首位のドイツから、アメリカ、フランス、日本、スウェーデンと上位5チームをはじめ、ブラジル、ノルウェーなど豪華な面々が揃った。

今大会、W杯経験者であるFW安藤梢(左)もCB岩清水梓(右)もポジション争いに凌ぎを削る今大会、W杯経験者であるFW安藤梢(左)もCB岩清水梓(右)もポジション争いに凌ぎを削る 日本は、デンマーク、フランス、そして開催国のポルトガルと同じグループC。海外組も遅ればせながら、大会前に合流し、一気に強化を図る。

 初戦のデンマークは日本にとって分のいい相手。組織力もあり、個人の能力も高いデンマークは好敵手だ。現在のベストメンバーで臨み、コンビネーションを試しながら勢いをつけたい。

 第2戦は地元・ポルトガル。格下とあって、ここではできるだけ多くの控え選手を起用したいところ。とはいえ、なでしこジャパンのサッカーが展開できないほど入れ替えてしまっては、彼女たちの適応性を図れない。ターンオーバーととらえるか、主力に加わった際の馴染み方を見極めるか、指揮官の判断が注目される。

 そして最終戦が一番の難敵・フランスだ。最近の対戦で印象に残るのは2012年のロンドンオリンピック準決勝(○2-1)と、その直前に行なわれた親善試合(●0-2)の2試合。これは1勝1敗のイーブンとなっている。フランスはロンドンオリンピックでの敗戦を忘れてはいない。日本に対しては感ずるところもあるはずだ。しかも近年は、世界の頂点に立つために強化を重ねている。実質、FIFAランキングも日本を抜いて3位にまで上昇した。攻守において抜け目のないパワーと技術、戦術を兼ね備えた世界的にも珍しいほど均整のとれたチームといっていい。フランスとの最終戦は、おそらくグループCの首位争いを兼ねた戦いになる可能性が高い。グループリーグの中で最もエキサイティングな試合になることは間違いないだろう。

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