オーストラリア人記者が見たサッカー日本代表。「緩い」 (3ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by Matsuoka Kenzaburou

「何度か日本の記者会見にも出たが、たとえパフォーマンスが悪かったとしても、メディアはそれについて突っ込んでいなかったように思う。ある試合で個人のミスが目立ったとすれば議論になるのが普通だが、それもお咎(とが)めなし。オーストラリアは自国開催で大きなプレッシャーに晒されながら、それに打ち勝ち、優勝を遂げたが、日本の周囲からはそのような厳しさは感じられなかった」

 パスを回してばかりで怖さがない。そして代表チームを取り囲む全体の緩い雰囲気がモンテベルデ記者には目に付いたようだ。

 一方で、アデレード在住で近年アジアサッカーを幅広く取材するフリーランスのポール・ウィリアムス記者は、オーストラリアと日本には、決定力と世代交代の進歩の差があったとした。

「チャンスに決め切れたか否か。オーストラリアは韓国とのグループリーグ最終戦を除けば、全試合で複数得点し、多くの得点パターンを持っており、相手にとって予測困難だったはず。それに対し、日本の攻撃は予想の範囲内。右からの本田の仕掛け頼みで、常にギアをセカンドに入れたままの状態に見え(スピード不足)、UAE戦では試合を完全に支配しながら再三のチャンスを生かせなかった。オーストラリアが成功に貪欲だったのに対し、日本は黙っていても成功が自分たちに転がり込んでくると考えていたようだった。

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