不明朗な人事、商業主義...日本サッカー協会の問題点 (5ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 長田洋平/アフロスポーツ●写真

 商売重視。現在の日本サッカー界の姿は、商業メディアやスポンサーの顔色をうかがいすぎた末の悲劇とは言えまいか。アギーレは、アジアカップのメンバーにお馴染みの選手をずらりと並べた。先発は、その中でも知名度の高い選手で固めた。商業重視のメディアやスポンサーにとって、これは歓迎すべきものだったはずだ。しかし、結果はベスト8。今後に不安を残す敗れ方をした。

 協会の力は、いったいどこにどう働いていたのだろうか。ブラジル戦の戦い方には、毅然とした態度でイエスと言い、アジアカップのメンバー選考には同様にノーと言うべきではなかったか。

「数字」を伸ばしたい「担当者」は、概して目の前の勝利に喜ぶ。その声に耳を傾けようとすれば、一戦必勝主義、勝利至上主義、結果至上主義は加速する。その一方で、本番は4年に一度という代表チームの強化のサイクルは乱れる。協会はそこでどんな立ち位置を取るのか。新監督の就任を、3月に行なわれる親善試合に間に合わせようとする必要はあるのか。いったい誰のために慌てているのか。僕には、照準が「2018年6月」に、ピタリと向いているようには見えないのだ。

(5)アウェー戦が少ない理由

 強化を図るためにはお金が必要だ。お金がなければ何も始まらない。これは確かな事実だが、強化よりそちらの方が勝っているのではないか。そう言わざるを得ない。

 乱れた現実が、もっとも分かりやすいのが代表戦だ。ホーム戦とアウェー戦。理想的な関係は紛れもなく50対50だ。しかし現実は、70対30、80対20。目に余るホーム戦過多だ。どちらが強化に繋がるか。学ぶことが多いかといえばアウェー戦。これはハッキリしている。

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