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アギーレ監督解任問題。技術委員会のプレゼンスを守れ! (2ページ目)

  • 木村元彦●文 text by Kimura Yukihiko
  • photo by Kyodo News

「加茂で行けなかったら、私が辞める」「ジーコに聞いてみろ」「オシムって言っちゃったね」......。その時々の協会会長が洩らしたこれらのコメントが物語るのは、いかに技術委員会の存在がないがしろにされて、鶴の一声で代表監督が決められて来たかという事実である。それが原博美が委員長に就任後、初めて独立した機関として機能し出した。

 2010年5月3日付けの朝日新聞は、犬飼基昭会長(当時)が浦和時代から関係の深いギド・ブッフバルトに代表監督を引き受ける意思を確認したと報道した。Jリーグをスポンサードする朝日新聞と協会の関係からすれば、これは世論の観測アドバルーンと見ることもできる。この記事に対して猛然と否定し、「ギドは浦和を優勝に導いてくれたけど、ドイツに戻っても、(ブンデスリーガ2部の)アーヘンを率いた実績しかない。こんな決め方は絶対に良くない。それは俺の仕事だ。」と専門誌(サッカーマガジン2010年5月25日号)で声を上げたのが、就任2年目の原であった。

 言葉通り、W杯南アフリカ大会が終わると、ギドではなく、独自のスカウティングでザッケローニを選んだ。長らく放置されてきたJリーグの過密日程調整の問題にも原は動いた(各クラブの実行委員からの信頼が厚いのは、代表強化は監督選考のみならず、育成やクラブの日常と密接にリンクしなければならないというその姿勢によるものだ)。

 ザッケローニからアギーレというのも、また原の規定路線であったのだろう。W杯で敗退してから、"さあ、どうしよう"とゼロから考えても遅きに失する。そこは迅速さも求められる。

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