識者7人が警告「日本サッカー、今そこにある危機」 (2ページ目)

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 望月氏に限らず、他にもアギーレ監督率いる日本代表を評価する識者はいた。しかし、まさかの準々決勝敗退という結果から、いろいろな課題が露わになったことは、誰もが認める。

 ここからは、今の日本代表が抱える問題点をしっかりと見極めていきたい。識者全員が問題点に挙げたのは、「決定力不足」だった。

木村和司氏(解説者/元横浜F・マリノス監督)
「今の日本代表が抱える一番の問題は、アジアカップ準々決勝のUAE戦(1-1/PK4-5)に象徴される、"決定力のなさ""シュートの正確性の低さ"に尽きる。35本のシュートを放ちながら、わずか1点しか挙げられないなんて、世界的に見ても、例がないのではないか。

 決定力を高めるためには、フィニッシュはもちろんのこと、その前のラストパスやクロスの精度も高めていかなければいけない。そして"ボールの受け手と出し手の関係"というものを、より密にしていかなければいけないだろう。今の代表は、たまたま点が取れているだけで、どこにボールが欲しいとか、どこに走ってほしいとか、受け手と出し手の要求や意図がまったく伝わってこない。ゆえに、どこを狙って、どこで点をとるのか、という狙いも見えない。それこそ、サッカーでは最も大事なところで、その部分を選手も、そして監督も、より追求していかなければいけない」

 点が取れないことは、ブラジルW杯で示された世界の潮流に乗り遅れたことが問題だった、と指摘する声もある。

鈴木良平氏(解説者/元ビーレフェルトコーチ、日本女子代表監督など)
「昨年のブラジルW杯で、球際に強く、素早いカウンターや前線のプレッシングからのショートカウンターができないと世界では勝てない、ということが証明された。そうした状況の中で、日本は球際で弱く、カウンターもできなかった。最も戦えていなかったチームで、だから惨敗した。にもかかわらず、ブラジルW杯における、協会の反省なり、検証が余りにも足りな過ぎた。

 おかげで、アジアカップでも日本のサッカーからは何ら進歩が見られなかった。カウンターで点を取らないと厳しい時代であることがわかっているはずなのに、それができていなかった。相変わらず、長い時間ボールを持っていたけれども、素早い攻撃で相手をズタズタに崩すシーンは見られなかったし、可能性のあるシュートも少なかった。

 相手が引いた状態にあっても、それを崩すための方法論はいくらでもある。例えば、今ではバイエルン・ミュンヘンがそういう相手をどう崩すのか、という見本をいろいろと見せてくれている。そこでも、カウンターの重要性は示されている。そのうえで、個の仕掛けであったり、ワンツーであったり、ロングボールを駆使したり、さまざまな変化をつけた攻撃を実践している。ただ後ろでボールを回しているだけではない、ということははっきりしている。その違いに、日本は早く気づかなければいけないし、それができなければ、いつまで経っても点は取れない」

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