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豊田陽平が語る「2014年、鳥栖に何があったのか」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by 7044 AFLO

「試合には相性というのはあって、その意味では浦和は鳥栖にとって、相性がいい相手なんです。やりやすい、というか、自分たちのサッカーが自然にはまるんですよ。システムとしては、例えば広島と同じなんですが、広島は逆に相性が良くない。ボールをどこに持って行くのか、保持するのか、どこにポジションを取るのか、プレッシングを外すのもうまいし、個人がその場の判断でうまくシステムを機能させているんですよ」

 彼は解説を続けた。

「でも、浦和戦は自信があったから、選手たちで『決してリトリート(引いて立て直す)せず、前からプレッシャーをかけていこう』と意見を固めました。その戦いで、向こうの攻守はずれていきましたね。だから展開自体は悪かったわけじゃないと思います。鳥栖としては後半勝負というところで、攻勢に出られていました。PKがなければ、と悔やまれますね。いや、たとえPKを与えていたとしても、レッドカードさえ出されていなければ......まあ、シュート0本の自分が反省するべきなのかもしれません」

 背番号11は自らを責めたが、彼にマークが集中していた間隙を他選手が突ける余裕は十分にあった。それができなかったということが、鳥栖の現状なのだろう。その一方、鬼気迫るロングボール攻勢には哲学すら感じさせた。アディショナルタイムに同点にしたのも鳥栖というチームの実力と可能性であった。

「2014年はブラジルW杯があって、そのメンバーから外れてしまった。その後は『鳥栖で優勝する』と次の目標を決めて頑張ってきたんです。絶対にやってやる、と僕は思っていました。それで今日の引き分けなんで、さすがに......」

 その語尾は途切れ、静かに悔しさを噛み殺していた。

 2014シーズンも、豊田はエースとしてサガン鳥栖を牽引している。

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