2015.01.06

豊田陽平が語る「2014年、鳥栖に何があったのか」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by 7044 AFLO

アギーレジャパンとの遭遇~世界へ挑む男たち・豊田陽平(前編)

 2014年11月29日、佐賀県鳥栖市。夜の帳(とばり)は落ち、歓声は彼方にあった。サガン鳥栖の選手たちやその家族が通っている創作料理店『うらら』に彼は入っていた。

「今日は勝ち点3でなければ意味がない、という覚悟でプレイしていました」

 二人で入ると顔をつきあわせるような小さな部屋で、豊田陽平はそう言って小さくため息をついた。憔悴した様子でグラスを取ると、冷えたオレンジジュースをごくりと飲んだ。試合は終了間際の得点で追いついて1-1の引き分け、意地を見せていた。だが勝てなかったことにより、最終節を残して優勝争いから脱落することになった。

アジアカップの日本代表にも選ばれた豊田陽平(鳥栖)「試合が終わって、グラウンドを一周してサポーターに挨拶したんです。子供を連れ歩きながらだったんですが、空虚感というんですかね? 完全に力が抜けてしまっていて。こんな感覚は今までで初めてでした。前節の徳島戦で連勝して、優勝の可能性を残しながら首位との試合だったんで、ここまで来たら最後までタイトルを争いたい気持ちが強かった。浦和(レッズ)の選手は緊張からか動きが硬かったし、十分に勝てるチャンスはあったと思いますから」

 しかめ面で言い、豊田はこう続けた。