2014.09.23

【なでしこ】不安と問題だらけの決勝トーナメント進出

  • 早草紀子●文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by REUTERS/AFLO

9月特集 アジア大会2014の発見!(8)

 なでしこジャパンがアジア大会でグループリーグ1位突破を果たした。一見、結果としては目標通りのステップである。しかし、内容は問題が山積。大会2連覇への道が険しいことを改めて感じさせるグループリーグの戦いだった。

やはりベテラン組がきっちりと活躍し、チャイニーズ・タイペイ戦でも得点した阪口夢穂。 2勝1分、2位の中国に勝ち点で並ぶも得失点差で6の差をつけ、首位で決勝トーナメント進出を決めた。1位通過でなければならないのには訳があった。2位通過となれば、アジア一番の強敵と言って過言ではない北朝鮮と決勝トーナメント一回戦(準々決勝)で対戦することになる。まだまだ未熟な現在のチーム状態で当たるには分が悪すぎる。できれば準々決勝、準決勝と、わずかでも経験を重ねてから決勝の舞台で対峙したい相手なのだ。

 グループリーグの戦いは初戦の中国戦が最大の山場だった。しかし、チームが発足してまだ1週間。しかもメンバーが大きく入れ替わり、チーム作りはゼロからのスタートだ。0-0という結果も致し方ないことなのかもしれない。

 結果、このドローでグループリーグの戦いは勝敗ではなく、ゴール数勝負になってしまった。このチームを牽引する宮間あや(湯郷ベル)、川澄奈穂美(INAC神戸)、阪口夢穂(ベレーザ)らが意地を見せたのが、続く2戦目のヨルダン戦だった。結果は12-0。ヨルダンは発展途上のチームで、約2年間チームの指揮をとる沖山雅彦監督は元JFAアカデミー福島の指導者だ。まっさらな人材を育成する力には長(た)けている。対する日本は、引いてしまう相手に対し、いかに崩すかが最大の注目点だった。

 ここで攻撃力を印象づけたのはFW菅澤優衣香(ジェフ)とともにハットトリックを達成した阪口だった。特にセットプレイでは、新たな手法も編み出した。それを「突然思いついた」(阪口)のは、20分のコーナーキックのチャンス時だった。通常はバラけて宮間からのボールを待つ攻撃陣だが、突然阪口が「固まってみる!」と団子状態でスタンバイ。その中で宮間はその固まりの中にいる阪口の頭にピタリと合わせてゴールが生まれた。

「このパターンはこれからも使える」(阪口)

 得点パターンが新たにひとつ増えた瞬間だった。