2014.09.26

宿敵・韓国とのベスト8決戦へ。鈴木武蔵にエースの自覚

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi photo by AFLO

9月特集 アジア大会2014の発見!(14)

 武蔵くんを先発で起用し続ける理由は、どこにあるのでしょうか――。

 U-21日本代表を率いる手倉森誠監督に、そのような質問が投げかけられたのは、今年1月、オマーンで行なわれたU-22アジア選手権でのことだった。その記者の口調には、厳しく問いただすような響きはなく、ただただ素朴な疑問、というような感じだった。

アジア大会でこれまで5ゴールを奪っている鈴木武蔵 このとき指揮官が、鈴木武蔵を起用する理由として挙げたのは、「守備面での貢献」だった。

「コーナーキックの守備でニュートラルの役目(誰のマークにもつかず、ニアサイドで弾き返す役目)を担っているし、相手のセンターバックからアンカーへのパスコースを潰しながら、プレスの方向づけをしてくれている」

 もっとも、裏を返せば、「守備面での貢献」しか挙げられなかったとも言える。鈴木武蔵はその大会で4試合すべてに先発し、フルタイム出場を飾ったが、ゴールはひとつも奪えなかった。そればかりか、見せ場もほとんどと言っていいほど作れなかった。

 指揮官の本音がもう少し聞けたのは、U-22アジア選手権から帰国して1週間後、単独インタビューでのことだ。

「武蔵のポテンシャルに期待しているんだ。あのスピードや高さを、あいつ自身がもっと生かせるようにならなければいけないけど、チームとしてうまく生かせれば、攻撃のバリエーションがすごく広がる。まだまだ物足りないけど、今大会(U-22アジア選手権)でもタフにやってくれたし、長くピッチにいたからこそ感じたものも大きいはずだよ」

 彼の名誉のために記しておけば、U-22アジア選手権での鈴木武蔵は、本調子ではなかったようだ。それから2ヶ月が経った2014年3月下旬、東京で行なわれたU-21日本代表候補キャンプで、「あの時は調子が悪くて、あまり起用してほしくなかったぐらいで……」と苦笑交じりに打ち明けている。